12月4日(水)~10日(火)は人権週間です。
人権週間啓発活動として、11月22日(金)~12月11日(水)まで
河内長野駅・三日市町駅の両駅前で横断幕を掲示します。
また、市公用車にマグネットプレートを貼付します。
感染症は、得体の知れない見えない恐怖を人類に投げかけ、昔も今も、様々な差別や人権問題を引き起こす結果を生みました。戦争や平和との関連と共に以下に一部をご紹介します。
時代 | 1~2世紀 |
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症状 | 高熱、頭痛、嘔吐などの症状が出る 症状が悪化すると、意識障害や、腎不全を起こして死亡することもある |
感染 のし かた |
・マラリア原虫という寄生虫が病原体で、これがハマダラカという蚊の雌の吸血によって媒介されて、ヒトを感染させる ・現在でも、アフリカ・アジア・中南米など、100ヵ国以上で発生している |
平和 と 人権 |
ローマ帝国の発展は、都市整備や道の発達、鉄など金属器の生産のため大量の森林伐採をともなった。それが蚊の大量発生をまねき、マラリア感染拡大の原因となった。また、アフリカや中東からの奴隷がローマ帝国にマラリヤを蔓延させ、帝国の衰退をまねくこととなった。 |
時代 | 13世紀 |
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症状 | 皮膚と抹消神経が冒され知覚神経がマヒする。このため気づかないでケガや火傷を負うことがある。また、進行すると手足が委縮して変形することがある(19世紀ハンセンによって病原体が発見され、現在は治療法が確立されている) |
感染 のし かた |
・感染力が弱くゆっくり広がるため、遺伝病との誤解を受けることも多かった・熱帯の風土病が十字軍の移動を通じて、中東からヨーロッパにもたらされた |
平和 と 人権 |
・イエスはハンセン病の患者を癒した、一方で中世では、ハンセン病患者はキリスト教会から差別を受け、教会への立ち入りを禁止されたり、隔離された時代もあった ・日本では、らい予防法が1996まで続くなど、患者は不当な偏見や差別にさらされた |
時代 | 14世紀 |
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症状 | ・皮膚に黒っぽい斑点が出て死亡することが多いため「黒死病」ともいわれた ・現在は北里柴三郎らによって菌が発見され、抗生物質によって治療可能な病気になった |
感染 のし かた |
・モンゴル帝国支配下でのユーラシア大陸東西交易の隆盛を背景にペスト菌が寄生するクマネズミがヨーロッパにもたらされ、感染拡大し 7500万人の死者が発生した |
平和 と 人権 |
・「ユダヤ人が毒をまいた」などのデマやユダヤ人への偏見や誤解により迫害や虐殺が横行した ・患者も迫害を受ける一方で、捨て子が増えた為に養育院が創設され、小児医療の草分けとなる進歩もあった。 |
時代 | 15世紀 |
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症状 | 梅毒は、かつては不治の感染症とされ、症状が進行すると全身の麻痺、精神錯乱、失明、運動障害や言語障害に至るため、恐れられていた 現在は抗生物質によって治療可能になった。 |
感染 のし かた |
・母親から胎児に感染する先天性と、性行為による後天性がある ・大航海時代にアメリカからもたらされ、ルネッサンス期の性の解放で感染拡大に拍車がかかった |
平和 と 人権 |
・性交渉によって感染することが判明すると、性はタブー視され、売春婦は差別されるようになった ・1494年イタリアのナポリに進軍したフランス軍が当時イタリアで蔓延していた梅毒に感染し、急遽撤退した(梅毒は当時、フランスではナポリ病、イタリアではフランス病と呼ばれていた) |
時代 | 17~18世紀 |
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症状 | 頭痛、腹痛、嘔吐などの症状を表し、高い致死率。また、痘痕(あばた)と呼ばれる発疹を出し痘痕は生涯残る。また、失明も、数多くみられる |
感染 のし かた |
古代インド起源とみられ、仏教伝搬やシルクロードの東西交流と共に蔓延した 人のみが感染するウイルス性の病気で、感染した人は必ず発症する。一度かかれば、二度とかかることはない。 |
平和 と 人権 |
・スペイン人によってアメリカ大陸に持ち込まれた天然痘は、アステカ文明やインカ帝国を滅亡し、新大陸の征服を容易にした ・13世紀、元軍の撤退のおもな原因は天然痘であったと言われている ・1980年WHOは天然痘根絶を宣言した |
時代 | 19世紀 |
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症状 | 結核の患者の皮膚が透き通ったように白くなって死に至るため、ヨーロッパでは「白いペスト」、「白死病」と呼ばれた。 現在は半年間の薬剤服用で治癒が可能 |
感染 のし かた |
空気感染(伝染力は弱い) 産業革命時の過酷で、非衛生的な労働条件で流行し、都市人口の流入が感染拡大に拍車をかけた 一度下火になったものの、近年また隆盛となっている |
平和 と 人権 |
・明治時代、富国強兵を目指した日本は、各地に工場をつくり、結核は貧しく過酷な条件で働いていた女工を蝕んでいった |
時代 | 19世紀 |
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症状 | 感染すると、重い場合は激しい嘔吐と、下痢が突然始まり、全身痙攣をきたし、脱水状態になり、またたく間に死に至る。 |
感染 のし かた |
コレラ菌に汚染された水や食料を摂取することにより感染(経口感染)する。消化管内に入ったコレラ菌は酸に弱く死滅するが、小腸に到達した場合は、コレラ毒素を産生する。 |
平和 と 人権 |
ガンジス川流域が発生地で、イギリスのインド経営で西欧へ拡散した 1884年ドイツの細菌学者ロベルト・コッホによってコレラ菌が発見された後、医学の発展、防疫体制の強化などにより、1924年以降はコレラの世界的流行は起こらなくなった |
時代 | 19世紀 |
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症状 | 発熱、激しい頭痛、極度の疲労感が現れ、4~6日後に全身に発疹が現れるが、顔面、手掌、足底に出現することは少ない。 |
感染 のし かた |
シラミ(コロモジラミ)の体液や糞便で、シラミの刺咬部位や傷口が汚染された場合に感染する。 |
平和 と 人権 |
戦争、貧困、飢餓など社会的悪条件下で流行することが多く、第一次大戦中にはヨーロッパで数百万の死者を出している。アンネの日記のアンネ・フランクは姉と共に不衛生な強制収容所で、発疹チフスが原因で亡くなっている。 |
時代 | 19世紀 |
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症状 | 高熱、頭痛、四肢疼痛、全身倦怠などの全身症状を示し、重篤な場合、急性肺炎を起こして死亡することもある。小児では、意識障害が出て、インフルエンザ脳症が起きることもある。 |
感染 のし かた |
都市の人口密集と、鉄道や航路などの交通網が発達して、人の移動の活発化や世界大戦により、20世紀以降4回のパンデミックが発生した。 (インフルエンザは、ウイルス自体が変化しやすく毎年少しずつ型を変える。そしてまれに大変異することがある。それが新型インフルエンザとなり猛威を振るう場合がある) |
平和 と 人権 |
スペインかぜは鳥インフルエンザが変異した新型インフルエンザで、第一次世界大戦では、スペインかぜの猛威によってドイツ・アメリカ両陣営共に戦争の数倍の犠牲者を出し、休戦条約が結ばれて大戦は終結した |
時代 | 21世紀(2002年) |
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症状 | 初期はインフルエンザ様(38℃以上の発熱、悪寒戦慄、筋肉痛)→肺炎症状(咳、呼吸困難など)、下痢。急性呼吸器症候群で死亡あり。集中治療が必要(20%)。 |
感染 のし かた |
感染経路は、飛沫および接触(糞口)感染が主体とされるが、空気感染の可能性もある。 有効な根治療法は未確立。 |
平和 と 人権 |
2002年に、中国南部広東省で非定型性肺炎の患者報告に端を発し、北半球のインド以東のアジアとカナダを中心に、32の地域や国々へ拡大した。中国を中心に8,096人感染(医療従事者:1,707人)し、774人が死亡。ヒト−ヒトの接触が密な場合に、集団発生した。2003年に終息宣言。国境なき医師団のウルバニ医師がSARSの犠牲となった事でも世界に衝撃が走った。 |
時代 | 21世紀(2012年) |
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症状 | 初期はインフルエンザ様(発熱、咳)、息切れ、時に下痢。高齢や基礎疾患(糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全など)があると重症化する傾向がある。 |
感染 のし かた |
ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有、ラクダとの濃厚接触で感染する。また、家族間や医療機関における限定的なヒトーヒト感染も報告されている。これらは、咳などによる飛沫感染や接触感染によるものだと考えられている。 |
平和 と 人権 |
2012年9月以降、中東地域に居住または渡航歴のある者、あるいはMERS患者との接触歴のある者において、症例が継続的に報告され、医療施設や家族内等において限定的なヒト-ヒト感染も確認されている。2019年11月末現在、患者数2494(死亡:858)名 |
時代 | 21世紀(2019年) |
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症状 | 初期症状は軽症で、発熱や咳など風邪のような症状が見られるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがある。下痢・嘔吐などの消化器症状や意識障害などの神経症状が現れることもあり、重症化すると肺炎を発症する。一方で症状のない場合もあり、今だ不明な点も多い。 |
感染 のし かた |
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認された。世界保健機関(WHO)は、2020年1月に緊急事態宣言、3月にパンデミック(世界的な大流行)とみなせると表明した。 |
平和 と 人権 |
・短期間に世界中に感染拡大し、2020年6月末現在で、1000万人以上の感染者(50万人以上の死者)を出し、今なお感染拡大している。 ・米中間の摩擦が激化し、世界各国でも人種差別や難民差別など様々な差別や人権問題が発生している |
参考文献:加藤茂孝著『人類と感染症の歴史』2013年、『続・人類と感染症の歴史』2018年丸善出版、国立感染症研究所 岡田晴恵著『歴史をつくった7大伝染病』2008年PHP研究所